【ころぶ】アンテナの方向性に変化を与えた本たち。
*ブックカバーチャレンジ 2日目*
小さな種から芽がでて、太陽やら水やら土やら風やら4大元素からの栄養を豊富に与えてもらうと、すくすく育っていくように、私もいろんな本と出会いながら、すくすく育っていきました。
だんだん栄養がついてくると、僅かながら知識もついてきます。
その知識を元に、枝葉を広げたくなってきて、本を探すアンテナを広げ始めていくようになりました。
今回は、アンテナを広げる為の方向性に変化を与えてくれた本たちの紹介です。
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前回、くどいくらいに「パタリロ!」が読書に多大なる影響を与えてくれたことをお話しました。
記憶にある中で最初に読んだ漫画は「キャンディ・キャンディ」でしたが、「パタリロ!」以降、趣向が変わりました。
それまで乙女路線だったのが、ギャグ、BL(当時は少年愛)、推理・謎解きもの、エログロもの、ホラー・ミステリもの、SF…などにも食指が伸びるようになり、少女誌、少年誌、青年誌、アダルト雑誌まで読みまくりました。
ギャグ漫画といえば、
鴨川つばめ「マカロニほうれん荘」秋田書店
初めて出会った少年誌の漫画。もう、ほんと、衝撃的過ぎて、一気に虜に。
きんどーちゃんが大好きでした。下宿に憧れた作品。
アメコミ、歌舞伎、能、講談、ミュージカル、バレエ、各種スポーツ、格闘技…なんでも御座れのパロディの嵐。つげ義春を知ったのは、この作品でした。
戦争ものを多く取り上げていて、戦争映画に興味を持つキッカケにもなりました。
赤塚不二夫「天才!バカボン」講談社→小学館
言わずと知れた天才赤塚作品。雑誌掲載時は、様々な実験を作品中でしていて、漫画の可能性を引き出した作家さん。編集者とのバトルや、アニメ放送時のPTAとのバトルなど、血気盛んな印象がありますが、ご本人は物静かな人だったとか。内面が激しいと物静かになるのかな。
高橋留美子「うる星やつら」小学館
ラムちゃんは無敵。高橋留美子のお陰で、男性作家は男性誌、女性作家は少女誌、みたいな括りがなくなり、読み手の私はもっともっと自由に作品を楽しむことを覚えました。
ギャグ漫画としていながら、ジェンダー、人種、学校生活などの問題点を浮き彫りにしていて、考えさせられることも度々。「人魚の森」シリーズはシリアス怪奇ですが、激オススメです。
魔夜峰央「ラシャーヌ!」白泉社
「パタリロ!」に匹敵するギャグ漫画。私はラシャーヌのファッションセンスが大好きでした。
個人的に一番美しいと思っている時期の、魔夜峰央の筆致が楽しめる作品。
ベタ塗りが多く、ホワイトで主線を描き出すのは魔夜峰央さんの特許では…と思うほど、黒い画面。
それが妖しく美しく大好きで、真似しようとしましたが、あの画風は再現不可でした。
佐野菜見「坂本ですが?」KADOKAWA
男子高校生の学園生活を描いただけなのに、徹底的にクールというだけで、こうも笑えるとは…!
本気が過ぎると笑いになる。実生活でもあるあるだけど、堂々と紙面に描かれると、もう、なんか、笑わないわけにいかないというか…お手上げです。褒め言葉です。
「ミギとダリ」も激しくオススメ。
BL(少年愛)といえば、
萩尾望都「11月のギムナジウム」「小鳥の巣」「トーマの心臓」小学館
竹宮恵子「風と木の詩」中公文庫 「変奏曲シリーズ」マガジンハウス他
山岸凉子「グリーン・カーネーション」ミシェル・デュトワシリーズ白泉社→角川書店
「日出る処の天子」白泉社→角川書店「妖精王」白泉社→潮出版社
この三大巨匠の作品はBL作品として括るには、はみ出す要素が多すぎて悩むところですが、あえて。少年愛という概念を私に持ち込んでくれた、神作品たち。尊い…ありがとうございます。
ほんと、拝み倒す勢いです。
幼い頃、漫画家になりたかった私は「萩尾望都だけは読むまい」と思っていました。圧倒的な才能にやられて、漫画家の道はないと分かってしまうのが怖かったんですよね…結局、手にとってしまって、まんまとやられて、漫画家にはならないけど、あらゆる漫画を読み倒してやる!と決意したものです。
竹宮恵子作品は、小学生の頃、近所に小さな印刷工場がいくつかあって、そこで印刷された竹宮作品をいただいたのがキッカケで読むようになりました。印刷見本だったのかな?
画面から音だけでなく、交響曲まで聴こえてくる漫画は、初めてでした。
「日出処の天子」は「ベルばら」でヨーロッパかぶれになっていた私に革命を起こした作品。
この作品により日本の歴史が好きになり、更には神道や仏教にも興味を持ち、関連本を読み漁るまでに。「妖精王」の影響もあり、洋の東西を問わず魔術的なものに興味を持つキッカケになりました。
推理もの・謎解きものといえば、
青山剛昌「名探偵コナン」小学館
未だ連載していて、テレビアニメも映画も順調で…モンスター漫画。実母からアニメを先に教えてもらい、どハマりして、原作も読むという流れでした。作画が緻密で素晴らしいんです。
そういえばヲタク活動をしたのは「コナン」ものからだったな…(遠い目…
清水玲子「秘密」「月の子」「輝夜姫」白泉社
「月の子」で知り、美しい絵と不思議なストーリーに魅了されました。「秘密」は圧倒的な画力で残酷なシーンを美しく描き出していて、冷徹な目線が読者のバランスを保ってくれていると感じます。
映画にもなっていますが…まぁ、それは…(ゴホンゴホン…
乃木坂太郎「幽麗塔」小学館
こちらも圧倒的流麗画面で、殺人現場を麗しく描き出す天才です。登場人物の瞳が印象的。ヤバイ人物は、本当にヤバイ…この描き分け、恐ろしいくらいです。
かなりしっかりしたペン先で、安心して読めるはずなのに、不安しかない作品。どんどん引きづりこまれて、気づいたら作中人物になっていた…という錯覚を起こす。体感覚がはっきりとある作品。
清水アキ・京極夏彦「魍魎の匣」「姑獲鳥の夏」「狂骨の夢」「絡新婦の理」KADOKAWA
表現の難しい京極作品を漫画化したってだけでも尊敬に値するのに、原作を超えるほど面白く料理している!漫画と原作を交互に読むのがオススメ。描き出された京極堂はストライクど真ん中です。
密かに関口先生も好き。ダメダメさが最高です。
エログロものといえば、
坂本眞一「イノサン」「イノサンRouge」集英社
これは、久々に心臓鷲掴みにされた作品。何が凄いって、人体の描画。それも処刑されている人体。
相当、勉強してスケッチして…を繰り返したんだろうなぁ…(恍惚…
運命に逆らうのか、従うのか?というテーマで、歴史に翻弄される家系を描き出しているのは、ファミリーコンステレーション的にも興味深いのです。
原稿は完全デジタル作画で、twitterに動画が挙げられています。必見!
大塚英志・田島昭宇「多重人格探偵サイコ」KADOKAWA
変態的、猟奇的作品。最高にイカレテマス。褒め言葉です。
丸尾末広「少女椿」「芋虫」「パノラマ島綺譚」などなど。青林堂、河出書房新社、秋田書店、徳間書店、エンターブレイン、リブロポート
「少女椿」は映画化されましたね。主演の中村里砂は中村雅俊のお嬢さん。確か、初主演作だったような…よく演じたよ…。丸尾さんはイラストレーターでもあるので、ポスターや本の表紙なども多く手掛けています。偏執的な描写、グロテスクでエロティックで美しい絵は、目が離せない魅力に溢れています。
古谷兎丸「ライチ光クラブ」太田出版 「女子高生に殺されたい」新潮社
やはり美しく偏執的な画面を描く方なのですが、どこか不安定。そのアンバランス加減が作品の魅力にもなっています。ストーリーは奇天烈なんだけど、ありそう…と思わせる説得力に満ちています。
ホラー・ミステリといえば、
山岸凉子「汐の声」「ゆうれい談」「天人唐草」「キルケー」「夜叉御前」「グール」「スピンクス」「泣き女」「メデュウサ」「悪夢」「狐女」「あやかしの館」などなど、ほぼ全作。
ぜひ全集を読んでもらいたい!!!
「アラベスク」「テレプシコーラ」などバレエ漫画も有名。哲学がね、凄いのよ。
そしてホラーものは、本当に本当に怖い!トラウマ級。
心理学なども勉強しているのではないかなぁ…参考になる要素が多いのです。
白泉社、潮出版社、角川書店、講談社、朝日ソノラマ(現・朝日新聞出版社)
美内すずえ「白い影法師」「13月の悲劇」「孔雀色のカナリア」「黒百合の系図」「妖鬼妃伝」「アマテラス」&more!!!
「ガラスの仮面」の印象が強いですが、実は稀代のホラー作家であります。美内すずえ作品からホラーの魅力を教わりました。また生粋のチャネラーでもあり、幼い頃からの霊的体験がネームの基礎になっている作家さんであります。「アマテラス」に登場するエピソードは、ほぼ実体験だとか。
美内作品も、トラウマ級。夢に出てきます。心臓に悪い…褒め言葉です。
白泉社、集英社、講談社、KADOKAWA
わたなべまさこ「聖ロザリンド」ぶんか社
現在90歳、未だ現役!新作も描いておられます。いかにも少女漫画なキラキラした絵柄から繰り出される恐怖感…半端ない。人間の闇を描いたら右に出るものなし。
曽祢まさこ「幽霊がり」「私が死んだ夜」「呪いシリーズ」講談社
柔らかな筆致で優しく、怖いストーリーを展開していく手腕…心理的残酷さを味わう作品が多く、今読み返すとヒュッと恐ろしさが覆い被さってくるんです。
高橋葉介「仮面少年」「ライアー教授の午後」「宵闇通りのブン」「腸詰工場の少女」「怪談」「夢幻紳士シリーズ」などなど。こちらもぜひ全集で!
幻想的な画面が素敵なんです。しかも意外に可愛い。
コマ割りを大きくすることで、読み手の目の前で事が起こっているような錯覚を覚えます。いつの間にか術中にハマっているというか…読後感のなんとも言えない味の悪さも魅力。
徳間書店、早川書房、秋田書店、ぶんか社、朝日ソノラマ、東京三世社、白泉社、宙出版
この方の作品も全て読んで!あちこちで描いている上に遅筆なので追っかけはハード。
私の嗜好に多大な影響を与えてくれた作家さん。まず絵に衝撃を受けたのですが、そんなのはストーリー、構成力、膨大な資料を元にした力強さ、天才的思考で、丸ごと吹き飛びました。
「壁男」などの短編、「栞と紙魚子」「妖怪ハンター」など、映像化もされていますが…オススメはしません。なぜそうなるのか???と頭を抱えたい人はどうぞ。
集英社、朝日ソノラマ、奇想天外社、双葉社、秋田書店、講談社、光文社、マガジンハウス、小学館
星野之宣「ヤマタイカ」「宗像教授伝奇孝録」「星を継ぐもの」などなど。
天才SF作家であり、歴史作家。題材の多くを日本神話や古事記などに求めており「ヤマタイカ」はその代表作。宗像教授シリーズは作中で起こる事件と、神話や古事記との関連が面白く、推理ものとしても最高に楽しめます。高橋英樹主演でドラマ化されています。ドラマは別物…として観れば、面白い作品でした。星野作品の魅力のひとつはアメコミを思わせるカラーページ。美事です。
集英社、双葉社、光文社、潮出版社、朝日ソノラマ、東京三世社、KADOKAWA、幻冬舎、講談社、小学館、早川書房
繊細な線で描かれる恐怖譚は、息を呑むような怖さ。というか不安感。読んでいるときは奇天烈な展開に笑っちゃうんですが、後からゾワゾワしてくる面白さです。
朝日ソノラマ、小学館、白泉社、KADOKAWA、講談社、秋田書店
他にもまだまだ沢山…!!!!!!
紹介しきれない!!!
うわぁぁぁぁぁ!!!
と、氣づけば、全て漫画…!
今回は、作品ごとにリンクを貼っていません。メンドウ…ゴフゴフ…出版社のリンクを貼っていますので、興味を持った作品があれば、ご自身で調べてみるのもいいかな、と。
注1)出版社に関しては、栄枯盛衰が激しく今は存在しない会社や吸収合併された会社もあります。
注2)記載に関しては、社名のみとしていることをご了承ください。
こうしてみると、画面が綺麗で、下調べがしっかりしていて、ストーリー構成に明確な意思・意図があって、作家の熱量が非常に高い作品に惹かれていたように思います。(正直なところ、熱量が下がったと感じた作品は、途中から読むのをやめているものもあります)
それと、底なしの知識欲、探究心。緻密な表現を諦めいないストイックさ。
そんなところも感じ取って、心を打たれていたようです。
画面が綺麗とは、カメラワークがしっかりしているという意味。
漫画は映像作品なので、コマ割り=カメラワークなんです。
映画をたったひとりで撮っているよう…でもひとりでは描けない、チームワークでもあります。
その上、世に発信するには相当な責任もあります。
生半可な情熱では描ききれない。それも魅力的に感じていたのでしょう。
そして。
いくつかの作品を読むうちに、出版社ごとに作風が違うと気づき、読みたいジャンルを扱っている出版社を探すようにもなりました。
次回は、そんな読むを発展させてくれた本たちを紹介します。
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7つのテーマ
1日目【さわり】読むことを学んだ本たち。
2日目【ころぶ】アンテナの方向性に変化を与えた本たち。←イマココ
3日目【のびる】読むを発展させてくれた本たち。
4日目【よりみち】食指が動きまくった本たち。
5日目【のぼる】読む目的を持って漁った本たち。
6日目【きする】結局、これが好きだと氣づいた本たち。
7日目【しんてんち・ふか】新たな世界観を学んだ本たち。
事情により義母の家にいるので、ご紹介する本は私が撮ったものではなく、密林や出版社の紹介写真になりますことをお許しください。
バトンをお渡しする人を特定しません。
ご紹介していく本をみて「あ、私もやりたい」とワクワクした方がいらしたら、どうぞチャレンジを始めてみてください。
読書好きによる読書好きの為の時間になりますように。
未来の読書好きに捧げます。
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