あん
店長さん、
私達は、世界をみて、きくために、
生まれてきたのよ。
そうだとしたら、
何者にならなくても、
生きる意味があるのよ。
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2015年公開の映画「あん」
友人に誘われて観たときの衝撃ったら、
なかったのです。
舞台は、東村山市。
ロケ地はなんと、我が家のごくごくご近所。
慣れ親しんでいる景色が、あちこちに。
あ、あの信号だ。
あれは、あそこの踏切。
お。電車図書館。素敵よね。
あの場所にお店を…へぇ…。
お蕎麦屋さん!知ってる。美味しいの。
なんてことを楽しみながら、
観ていられる映画でもあります。
ただひとつ、
慣れ親しんでいなかったものが。
ハンセン病です。
本当に、つい最近まで、
隔離と差別、断種という、
恐ろしいことが行われていた病です。
(この記事を書いている今も、理解不能な事態があったことを呑み込めていません)
東村山市内には、
隔離施設であった全生園があります。
映画「あん」は、
特段、病のことを扱っている訳でも、
世の不平等を槍玉に挙げている訳でも、
なんでもないのです。
ただ、淡々と、淡々と描かれていく日々の積み重ねの中に、すうっと沈んでいる人の弱さとか、愚かさとか、優しさ、愛しさなんかを、本当に、ただ淡々と描いているだけなんです。
その淡々さが、公開当時も、
昨日、改めて観たときも、
どすんと乾いた音で、響いてくるのです。
静かに、
静かに、
革命する映画。
そんな映画です。
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