一人の少女が体験する、現実と空想の世界。天才子役、アナ・トレントの輝きに世界中が驚愕し、惜しみない賞賛を送ったビクトル・エリセ監督長編第1作。 スペイン・フランコ独裁政権下で撮影された、少女役のアナ・トレントの天才的な演技と繊細な描写による映画史上に傑出した一作。2017年、世界の名作を上映する企画「the アートシアター」の第1弾として、監督自身の監修によるデジタルリマスター版が初めて公開される。 スペインのある小さな村に『フランケンシュタイン』の巡回上映がやってくる。6歳の少女アナはスクリーン上の怪物を精霊と思い、姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞いたアナは、ある日、その家を訪れる。そこでひとりの謎めいた負傷兵と出会い…。 この映画が製作された1973年には、フランコ総裁による独裁政権の厳しさは当初ほどではなかったものの、未だ公に政権を批判することなどできない時代であった。そんな情勢の中、政府批判の検閲を逃れる方法をルイス・ブニュエル他スペインの芸術家達は心得ており、ビクトル・エリセもまた作品に象徴化を多用し、メッセージを表面に出さないことで検閲局の審査を通していた。 タイトルの"EL ESPIRITU DE LA COLMENA/SPIRIT OF THE BEEHIVE(原題)"=「蜂の巣の精霊(直訳」は、詩人であり劇作家のモーリス・メーテルリンクによる蜂の生活について書いた本の中から引用されている。それは蜂たちが従っているかのように見える、強力で不可思議かつ奇妙な力、そして人間には決して理解できない力を、この一文は表している。 1973年サン・セバスチャン国際映画祭 金の貝殻賞(グランプリ) 1973年シカゴ国際映画祭シルヴァー・ヒューゴー特別賞 1974年スペイン映画作家協会賞 最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀男優賞(フェルナンド・フェルナン=ゴメス)、最優秀撮影賞、最優秀音楽賞 1974年トリノ映画祭最優秀作品賞
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